福島県立大野病院事件福島地裁判決

(加筆済み)



医療者が固唾を呑んで見守った、福島県大野病院事件の判決が出ましたね。
結果は過失を認めない無罪判決となりました。


この事件を簡単にまとめると。
『癒着胎盤だった妊婦に、分娩時(後)に胎盤を取り除く処置をしたところ大量出血が起き、亡くなってしまった』というものです。
この処置に過失があったのかということなんです。
そして、もっと早く子宮摘出をするべきだったんじゃないか、という点も争点になっています。
ちなみに処置はクーパーを用いて取り除こうとする内容のものだったようです。
そしてその後に子宮全摘出に切り替えたとか。
一般的に胎盤を取り除いてから、それでも悪ければ子宮全摘に踏み切るのが医療水準のようです。


医師はその場その場で最善と思われる処置を選択して行って治療をします。
そのため処置を行うまでそれが本当に最善だったのかということはわかるはずがありません。
そして、検察側は結果からさかのぼってそこに過失があったのかに注目する。
患者が亡くなったら全部過失になりかねない気がしませんか?
医療にかかればすべての病気が治りますってわけじゃないんですから。
医学というか科学の世界を結果からだけで過失かどうか判断するのはちょっと乱暴なんじゃないでしょうか。
医師だって人間なんですから未来はわかりません。
そんな人間である医師に絶対の予見能力を期待するのは不適切なんじゃないかなあ、とこまは思いますね。
だって人間に常に最善が見えていたら世紀の大発見なんかありえませんし、いわゆる『実験』をする必要も無いってことになります。
そして、医師を殺人事件かなにかの犯罪者と同列に並べるように刑事事件として裁判をするのも間違っているんじゃないでしょうか?
医師は自分の知識・技能をもって患者を良くしようと最善を尽くして奉仕をしようとするのに、結果だけで殺人者として扱うなんて医師の士気は下がるどころじゃないでしょう。


今回の判決で、患者側の主張が認められたら危険な手術を行う医師がますますいなくなって我々、患者側が損失を受けるわけですから良い判決である、とこまは思います。



まあ、この事件は医療事件というだけじゃなくて検察の問題も浮き彫りにしたようですが。
そっちは書きませんけど。