『きっと、澄み渡る朝色よりも、』感想

はい、『きっと、すみ渡る朝色よりも、』クリアしました。
想像のはるか斜め上を行く、考える必要があるシナリオでした。
別に誰かが自殺するとかそういうシナリオではありませんが(苦

このゲームの構成、内容に関するネタバレを若干含むので、事前情報なしでプレイする予定の方はこれ以下を読まないでください><













































この作品は複数のキャラクターを攻略していくゲームではありません。
計3(正確には4)週することによって謎が明かされるシナリオとなっています。
この作品の絶対的なヒロインは与神『ひよ』です。他のキャラクターは恋愛的な意味で言うならサブキャラクター。
体験版をクリアされた方なら疑問に思われる部分があるかもしれませんが、『ひよ』が『絶対』です。
そして春告は対象ですらない。
よってひよが苦手な方は回れ右ですね。
ただし、『ひよ』を攻略するゲームでは無いんです。
とあるキャラクターを攻略(?)して謎を解いていく、主人公に全てが委ねられるシナリオです。
よって主人公のスペックが半端ではありません。詳しくはプレイしてみてくだされば良いのですが、喧嘩最強です。
が、超絶な鈍感&ヘタレなのでもんのすごくイライラします(苦


また、このゲームをプレイすると気付くことなんですが、矛盾や設定の変更、説明不足に見える部分があります。
たとえば、『四君子』のそれぞれの由来。全員の説明がされていた?
たとえば、どうして笹丸は初登校が遅れたの?
たとえば、青姉妹の本当の名前は何で描写されないの?
たとえば、何で若には苗字が無いの?また『透明』……所属するクラスは無くていいの?
たとえば、『ひよ』はどうして笹丸の先輩には絶対になれないの?
たとえば、『ひよ』はどうして看護婦のような服を着ているの?
たとえば、『ひよ』はどうして笹丸を『だんなさま』と呼ぶの?
たとえば、『きっと、澄み渡る朝色よりも、』のタイトルはどうして最後が句点なの?
あげればきりがありませんが、こんな些細なこと、疑問を持たないような部分から伏線になるものがあるんです。
こういう設定なんだから、それで片付けると伏線回収で度肝を抜かれることになります。
そこがまたすごいんですが。
ただし。
突っ込みどころが多いのもまた事実。
あら捜しをしないでそこにあるシナリオを楽しめる人なら問題ないでしょうが……
ちなみに私は絶賛できます。


幻想的な雰囲気からは想像が付かないかもしれませんが、なかなか鬱展開もあります。
また、この作品にはギャグのシーンが多いんですが、物語が進むと、ギャグのシーンにすら恐怖(鬱)を感じるかもしれません。
追い詰められた状況なんですが、笑顔で冗談を言うシーンで『ぶっ殺す』って出てきます。



音楽。
さすが樋口先生。
初めてPCゲームの音楽を聴いて、『怖い』と思いました。
ただ、樋口さんがよく使うような音(楽器)ではなく、純和風なので暖かさはいつもより少ないと思います。荘厳な感じ。
歌も最高に作品に合っています。主題歌なんて正に作品を表しているし、挿入歌はそのシーンがとてつもないことになっていて、シーンそのものと言ってもいいかもしれません。
フルバージョンを聴くべきでしょう。(主題歌『紅葉』だけはフルver.が初回版に収録されています)
あとは、おまけディスクに収録されている歌が一曲ありまして、それが唯一WHITE-LIPSさんが歌っていない曲。
とにかく、ヒドイw


音楽も合わさって、この作品はゲームというより芸術なんじゃないか思わせるような、チカラがあります。
また、芸術学校が舞台なだけあって作り手の心構えや注意にも触れられており、私としてはその言葉達が胸に突き刺さりました(苦
精進しないと。


以下、内容には直接触れない完全なネタバレ。
きっと、澄み渡る朝色よりも、今、確かに此処にいるあなたと、出逢いの数だけのふれあいに、この手は繋がっている。
それこそが主題。